ある種のプライド

どうも、コートを買ってから、人からやたらと「マトリックス」呼ばわりされる機会が増えました。

まぁ、以前から黒服を好み、たまにサングラスをかけたりもしているので････そう言われるのは今に始まったことでもなかったりするのですが。

でも、私「マトリックス」って見たことないんですよ。

いや、黒尽くめファッションを好むようになったきっかけの一つにあの作品があるのは否めないので、興味がないわけではないのですが･･･
どうも機会がなくて、今まで見ずに過ごしてきたのです。

断片的に得た情報や一般的評価を鑑みるに、恐らく面白いのであろうし、私の好きそうな内容に思われるのですが・・・
どうも、今更見る気が起きないのですよ。

何故かと言えば･･･
井原西鶴の「日本永代倉」に、こんな話があります。

その昔、江戸の或るところに、一代で財を成した商人がいました。
その商人は日ごろから「私は日本一の商人だ」と言って憚らなかったのですが･･･実はその商人、借家暮らしだったのです。
或る時、商売相手の借金のカタに一軒の家が手に入り、使用人一同は「これでやっと借家での商売ではなく、正真正銘の店ができる。」と喜びました。
しかし、主人である商人はひどく落ち込んでしまったのです。
その理由を尋ねられると、彼が言うには
「借家での商売でありながらこれだけの財を成したから、今まで『日本一の商人』などと自慢できたのだ。それが普通の店持ちになってしまっては･･･私の財産など、京や大阪の大商人に比べれば、はした金でしかない。」

つまりは、そう言うことなのです。
マトリックスを見ずに黒服を嗜むからこそある種の満足が得られるのであり･･･それがマトリックスを見てしまっては、私は凡百のマトヲタとなんら変わりなくなってしまうのです。
だから、私はマトリックスは見ません。
妙なプライドではありますが･･･その辺は所詮自己満足ですから。

しかし、そんな話をチラッと家で漏らしたら･･･

妹：「マトリックスのビデオ、うちにあるよ」

･･･絶対見るもんか。